例によって3000字という一回分の日記の文字数制限に
引っかかったから切り上げようかとも思ったんだけど、

タイミング見つからなくて続き書けない
→間に他の話題挟みたくないからココの更新完全停止

っていうコンボも嫌なので、そのまま続けることに。

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*6

バンッ!
と大きな音が凄く手荒にボクを電車に引き戻した。
脳内にアドレナリンが分泌され、
心拍数が上昇する。

音の発生源は目の前に放り出された雑誌。
競馬新聞を抱えた「いかにも柄の悪いオッサン」風の
男性がボクの向かいの席(お姉さんの隣)に
どさっと座り込んだ。

筋肉の発達度合いは一般人レヴェル。
年齢は40〜50、体重は75キロ未満。
凶器の所持はあっても最大で刃渡り30センチ未満のナイフ。
酒気は帯びていない。
視線は特に喧嘩を売っている風でもないが、
目つきは鋭く競馬新聞を追っている。
しかし、警戒度はそこまで高くない。
この距離ならこっちにやる気があれば明らかに
抵抗すらさせず戦闘不能にさせることが出来そうだ。

・・・ってことは、戦闘能力の厳密な評価はともかく、
現段階でオレに害を為そうとしているわけでは無さそうだ。

んが、わざわざ寝首を掻くチャンスを
与えたいタイプの人間ではないね。
しゃあない、しばらく起きて考え事でもするか。

なんて考えをまとめながらなんとなく窓に目を向けると。
お姉さんは明らかに迷惑顔。
っていうか、ちょっと怖がってるみたい。
机に置かれた水着のオンナノコの写真が表紙の雑誌も
あきらかに彼女に不快感を持たせているように思える。

・・・でも、こんなどこにでも売ってる青年誌の表紙に
反応するって、ずいぶん育ちがいいんだなぁ。
潔癖症か、そうでなきゃずいぶん硬い暮らしを送ってるのかも。

なんてボクとお姉さんが微妙に困り顔なのに気づいてか、
その男性は雑誌を手に取り。

これみよがしに雑誌に挟んであった
色っぽい少女のポスターを無造作に机のお姉さんの領域に放り、雑誌を読み始めた。


これはさすがに一歩間違うとセクハラなんでない?
とかおもいつつ、お姉さんが本気で困ってたら
助け舟を出したほうが良いかもと思って視線を上げると、

思いっきり真正面からお姉さんと目が合って。
そのまま約三秒硬直して、その後明らかにそうと分かるぐらい
目が泳いじゃう二人。
唖然→苦笑な感覚を共有したみたい。


よかった、ちょっとは余裕あるじゃん。
お姉さんは明らかに辟易してるけど、本当に不快でパニック、
っていうよりあきれてものも言えない、って感じかな。
結構大人じゃん?
って、見るからに大人なんだけどね。
中身が伴ってない大人を結構見てきただけに、ちょっと好感。
これでオッサンに注意しても逆に恩着せがましいし、
再び大人しく9月のこととか考える。

TOEICの準備のことや、大阪行く場合のデッキとか。
・・・んあ?TOEICのテキスト持ってきとるやん。
おとなしく読んで置くとしよっかな。

程なく、オッサンは電車を降り・・・。
って、ポスターは放置かよ!

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*7

さすがに去り際にポスターは持っていくだろうと
思っていたらしいお姉さんは
露骨ではないけど、顔に「安堵」→「唖然」
って書いてあった。
なんかちょっと可愛い。
でもあからさまにゴキブリを見るような目で
ポスターをみながらそのまま固まっているを見てたら
なんだかとっても可哀想な感じがしたので、
とりあえずそのポスターをひょいっと拾って
ボクの隣の席に置いて、自分のバッグの下敷きにしとく。

お姉さんはこれまた目の前からゴキブリが去ったような
微妙な安堵の表情でちょっと会釈。
うん、なんか上品な人だね。

ちょうどボクもまだまだ疲れてて
あまりしゃべる気力もなかったしそのままTOEICのおべんきょ。
文法関連を4ページほど進めると、
いつの間にか電車は田舎の暗闇を抜けていた。

「一緒に捨てて置きましょうか?」

え?ボクっていらない子なの(;_;)

と英語の混ざったボクの思考は凄まじくぶっとんだ返事を
してしまいそうになりながら、なんとか軌道修正して、

気を使わなくて良いよ、っていう趣旨の話をした。

「お行儀の悪い人でしたね。」

貴女はお行儀が良いですね。私も見習いたいです。
姿勢も良くて素敵ですね。健康状態も良好に見えます。
先ほどのゴタゴタで深刻な心的外傷を被らなかったようで何よりです。


って上から物を見た言い方をするのも気まずいので、
大人しく、やんわりと最近のマナーが悪い乗客のこと、
自分もそうなっていないかちょっと不安になることがある、
なんて話を続ける。

駅の周りにマクドナルドしかなかったことに驚いた、
なんて話でちょっと意気投合してるうちに、
都市部なので乗客もどっと入ってきて話が中断したところで、
お姉さんは目的地に着いたらしく、席を立つ。

ボクの休日はもう終わりだけど、
お姉さんきっと明日の日曜は休みだよね。

<よい週末が訪れますように。>
そんな自然な祈り。ボクも、家路は残すところあと少し。

関係の連続性は築くことはなかったけど、
なんかこの人と話したら少しだけ気持が和らいだかも。
さて、明日から気持を入れ替えてがんばろ、っと。

そう思いながらなんとなく回りをみわたすと、
通路を挟んだ向こう側では、20才前後の女の子が
「電車男」を読んでいるところだった。


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*8エピローグ

大切なこと、それはたぶん何が大切かってこと、

だって最近とっても思う。
電車男がそうだったみたいに世の多くの人たちがそれを見つけて、
それを中心に毎日を回していく。突っ走っていく。
彼らは大抵、特定の大切な何かを見つけることで、
そこにイロイロなものを収束させていく。

ゲーム理論を扱っていると特によく触れる、
自分の望む結果の為の手段。
経済学でいうところの
よりよい状態の実現。

ボクがいろいろな場面で煮え切らない感じなのは、
きっとまだ、自分にとってそういった価値の評価が
しっかり固まった形でまとまっていないからだと思う。

でも、目の前には就活、っていう大きな選択の場面が迫ってる。
少なくとも、不如意な生活で
すぐにストレス貯めてぼろぼろになってしまうことが無いように、
ちゃんと、自分が望むもの、避けるべきものを取捨選択して、
将来のヴィジョンを組み立てないとね。

・・・恋愛?結婚?
そんなのは、人生の全てじゃないもん。
勿論そういう局面を迎えないとも限らないけど、
今は、あくまでそういうのはちょっと備えるだけで、
中心的問題ではない気がする。
ま、100%男ばかりの職場かつ異性との出会いが皆無の生活だと
いきなり選択肢が狭まっちゃうから、
いろいろ考慮はするけどね。
男以外と話すことがそれなりにあった方が調子もいいしさ。(了

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